天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

城ケ崎

伊豆・城ケ崎にて

 約四千年前、伊豆の大室山の噴火で溶岩が海岸に流出、大小無数の岬をつくり、波の浸蝕で数十メートルの絶壁ができた。海岸線に沿ってヒメユズリハやヤマモモの群落などがある。門脇吊橋は、長さ48メートル・高さ23メートルの構造物である。人数制限があり揺らさないように、との注意書きがあるが、監視している様子はない。
二か所に、星野哲郎作詞の流行歌の碑がある。


   「雨の城ケ崎」
  元気出せよと抱きしめる 
  あなたの向こうに大島が 
  かすかに浮かぶ門脇岬 
  泣くだけ泣けば晴れるのね 
  このまま一生相合傘で 
  ぬれてゆきたい雨の城ヶ崎 


   「城ケ崎ブルース」
  愛してくれた小指の爪を
  そっとかたみに
  つつんでいれた
  ハンカチ白い城ヶ崎
  あなたが帰る
  遠笠山が
  涙にかすむ 夜のはて



短歌を作る立場からは、とても気恥ずかしい言葉の氾濫である。流行歌と短歌の違いがここに見てとれる。


     吊り橋や青潮白くくだけ散る


  津波くればひとたまりもなき山間の家々の墓斜面にならぶ

  窓際に坐りてながむ伊豆の海雲のかすみて大島を見ず
  人住まぬ家多かりし伊豆高原鎖に閉す落葉しく庭
  吊り橋に二頭の犬とすれ違ふ胴体熱く足に触れたり