天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

花火(2)

家族で花火

 家族で子供たちと遊ぶ規模の花火のうたをあげる。


     手花火を命継ぐ如燃やすなり  石田波郷
     花火屑おしろい花に掃き寄せて 細見綾子


  昔せし童遊びをなつかしみこより花火に余念なし
  われ                正岡子規


  平凡に堪へがたき性の童幼ども花火に飽きてみな
  去りにけり             斎藤茂吉


  縁台は線香花火が照らし出す団欒にぎやかにて宵
  しばしあり             筏井嘉一


  しゆんしゆんと線香花火の火のまろみ心幼く耐へて
  ゐむとす              穂積 忠


  鼠花火の白き子の脚くぐりぬけ楡の根方にふつと
  消えたり              時田則雄


  向きあいて無言の我ら砂浜にせんこう花火ぽとり
  と落ちぬ              俵 万智