天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

芙蓉(ふよう)

藤沢の路傍にて

 アオイ科の落葉低木。キハチス、モクフヨウなどとも。八重の白花で午後桃色に変わる種類を酔芙蓉(すいふよう)と呼ぶ。中国では芙蓉と書けばハスの花の別称になり、美人のたとえになる。白居易は「長恨歌」で、楊貴妃の面貌を芙蓉に譬えたが、それは蓮の花であった。もともと中国が原産地なのに、蓮の花と混同されたようでややこしい。


  白芙蓉うす日のかげに君とゐてまた会ひがたき日と
  おもふかな              金子薫園


  わが息を芙蓉の風にたとへますな十三絃をひと息に切る
                    山川登美子
  朝焼のくも高空にうごきつつ芙蓉の花はかたち新し
                    佐藤佐太郎
  白花の芙蓉のをはりしづかなる園はいさよふゆふべの光
                     山本友一
  しじまなすことばほのけし花芙蓉天つ罪など今日にもたずや
                    馬場あき子