天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

シクラメン

岡崎市のスーパーにて

 サクラソウ科の多年草で地中海東部沿岸地方が原産地。わが国では明治中期から栽培され始めたという。花の色には、白、緋紅、鮭肉、紫紅など多様。花弁についても、先端が波状になるものや縁に細かい切れ込みのあるものなどがある。開花の状態から和名を篝火花(かがりびばな)という。


  かがりびさうとその名を知りて何故か親しむ思ひ深く
  なりたり               吉田正俊


  シクラメンの紅き一鉢病室の窓辺に朝の光溢れしむ
                     渡辺順三
  ボヘミヤのチェロの旋律聴き終へてシクラメン白し
  夜更の居間に             細川謙三


  真剣に花を捧げて年を越すシクラメンを妻深くいたわる
                    佐佐木幸綱
  シクラメン選りいる妻をデパートに見て年の瀬の街
  にまぎるる              上野久雄


作詞作曲・小椋佳、 歌・布施明の「シクラメンのかほり (1975)」は、日本レコード大賞日本歌謡大賞を受賞した歌謡曲だが、題名にある「かほり」は、正確な日本語なら「かをり」とすべき。それはともかく、二番の歌詞を引いておこう。


  うす紅色の、シクラメンほど、まぶしいものはない
  恋する時の、君のようです
  木もれ陽あびた、君を抱けば  淋しささえも、おきざりにして
  愛が、いつのまにか、歩き始めました