天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

露草

横浜市東俣野の田園にて

 ツユクサツユクサ属の一年生植物。日本全土、アジア全域、アメリカ東北部など世界中に広く分布する。古名は月草。蛍草ともいう。万葉集には、月草で9首詠まれている。鴨跖草(おうせきそう)の字を当てることもある。露草で染めた青色はうつろいやすい色だった。また花は朝に咲くと昼にはしおれてしまう。そうしたところから「月草」は、はかなく移ろいやすいものを象徴する歌ことばになった。秋の季語。


     つゆ草咲けばとて雨ふるふるさとは  種田山頭火
     鎌の刃は露草の花つけてをり     長谷川櫂


  庭もせに咲きすさびたる月草の花にかかれる露の白玉
                       源 俊頼
  鴨跖草(つゆくさ)のすがれの花に晴るる日の空のさやけく
  山も真近し                長塚 節


  鬼怒川の岸のつゆ草打ち浸りささやくことは我はきけども
                       長塚 節
  蛍草咲く山みちにひるを鳴く虫きけばいのちあきらめがたし
                       橋本徳寿