天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紅葉狩(4)

座間谷戸山公園にて

 里山に紅葉を探した。藤沢の新林公園、横浜の舞岡公園、座間の谷戸山公園などである。里山には、炭焼きや椎茸栽培に使用するクヌギやコナラが多いので、紅葉より黄葉が目立つ。当然だが、日当りのよい斜面の木々が早く色付く。


     笹鳴の藪見下すや鳩のむれ
     青松に落葉かかれる師走かな
     駐輪場さくらもみぢの散りかかる
     里山の藪蔭うつる笹子かな
     幹黒し桜もみぢの散るほどに
     里山のほほけて白き枯尾花
     しぐるるや首掛け赤き六地蔵


  水鳥に忘れられたるしづけさの落葉うかべる谷戸の溜池
  チャイム鳴り藤沢警察署のこゑは行方不明者発見の報
  無患子の黄葉かがやく朝の日に開戦の日の海を想へり
  そこここに落葉鳴らせるリスのゐて太き尾を振り団栗を食む
  里山の池にいこへる鴨のむれ浮寝するあり水浴ぶるあり
  ヨシノボリ、ホトケドジョウも泥の中眠りは深き湧水の谷
  くもり日の谷戸山道をたもとほるクヌギ、コナラの黄葉見上げて
  いにしへの富士の噴火の火山灰降り積みしとふ伝説の丘
  タラバガニ、ハナサキガニと白菜をキムチ鍋にし泡盛を酌む