南天はメギ科ナンテン属の常緑低木。中国原産で漢名は「南天燭」。日本にきて「南天」を音読みして「なんてん」となった。「難を転ずる」という信心の言葉もできた。実を乾燥させたものには咳止めの効果があり、咽喉飴にもなっている。葉には殺菌効果があるらしい。南天の実には、白色のシロナンテン、淡紫色のフジナンテンなど数種類あるというが、あまり見かけない。鳥たちが好んで食べる。
赤き実を垂りて南天提げ帰る 山口誓子
南天をいつまでも挿し怪しまず 山口誓子
不退寺の実南天また実南天 石田勝彦
尼寺の廂の深き実南天 山崎ひさを
南天の白き小花が雨あとの庭に散りしく慎ましきもの
香川哲三