天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鎌倉・成就院にて

 「りゅう」あるいは「たつ」は、今年の干支であるが想像上の動物。インド神話では、蛇を神格化した人面蛇身の半神で、大海や地底に棲んで、雲雨を自在に支配するとされた。また仏法守護の天龍八部衆の一つ。中国では、鳳・麟・亀とともに四瑞の一つで、ここでもよく雲を起こし雨を呼ぶとされる。


  時によりすぐればたみのなげきなり八大龍王雨やめたまへ
                        源 実朝
  はたた神竜のあぎとのしら玉をくだくと見ゆる夕だちの雨
  曇りてふらず        『浦のしほ貝』 熊谷直好


  わたつみの竜のはたてにもゆる火のかげも匂へるあさ霞かな
                『浦のしほ貝』 熊谷直好
  竜鱗(たつのうろこ)苔さへむして白雲の底に根はへる奥山
  のまつ          『志濃夫廼舎歌集』 橘曙覧


  まきにひをけをまきて足だにものべえぬ菴に竜うちねぶる
               『志濃夫廼舎歌集』 橘曙覧