天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

早苗田

横浜市東俣野の田園にて

 田植えを終えて間もない田を植田という。早苗田は季語「植田」の傍題になる。苗を植えて一か月もすると青田に変る。


     懐しき榛の入日の植田かな    松崎 豊
     かささぎに植田明りの果もなし  米田静二
     これぞ加賀百万石の青田かな   渋沢渋亭
     みちのくの青田や昼の月あかり  原子公平


  西陽避けてトラックの陰に憩ひ居る田植ゑ終えたる
  中年夫婦             羽田忠武


  人間の技美しき早苗田が水を呼び水が夏雲を呼ぶ
                   三枝昂之
  さやさやの青田のなかに杭ひとつ鴉の去ればまた杭
  ひとつ              砂田暁子


  朝ぎりの風に流れて少しづつ青田のひかりみどり
  増しゆく             大郷輝雄