天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

待宵草

横浜市東俣野の田園にて

 アカバナ科多年草。南米原産の帰化植物で、嘉永年間に渡来した。近縁のオオマツヨイグサは明治初期に帰化したが、原産地は不明らしい。その他に北米原産のメマツヨイグサコマツヨイグサなども帰化している。一般にマツヨイグサの類をツキミソウと呼んだりするが、本来のツキミソウは近縁種で、白い花が夕方に咲く北米原産の二年草である。かなりややこしい。俳句では、季語「月見草」の傍題として、大待宵草、待宵草、宵待草 がある。以下では月見草も入れて作品を紹介する。


     月見草夕月よりも濃くひらき    安住 敦
     月見草にしばらく残る汽車の匂ひ  伊藤通明
     魚籠の中しづかになりぬ月見草   今井 聖


  待宵の花のひらくを時ながく待ちて坐れば砂あたたかし
                    夏梅千代子
  そのあたりにありたる鉢に種とびて待宵草は寒の日芽吹く
                     佐藤志満
  おほまつよひの群落にまじるこまつよひただ一本といへど
  いきほふ              石川不二子


  朝かげに色燃ゆるごと月見草ひらける花の純黄に冴ゆ
                     宮 柊二