天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

バナナ

わが食卓より

 熱帯各地で栽培されるバショウ科の多年草に成る果実。日本には果皮の青いものが輸入され、追熟して黄色になったものが店で売られる。一年中出回っているので、季節感に乏しいが、俳句では夏の季語。沖縄や奄美諸島では、初夏から秋にかけて、島バナナが食べごろになる。


     やや青きバナナの房ゆちぎりあふ  篠原 梵
     バナナ買ふや小さくなりし日本国  榊原春女
     バナナ熟れ礁の月は夜々青し    神尾季羊


  みどりのバナナぎつしりと詰め室(むろ)をしめガスを放つは
  おそろしき仕事              葛原妙子


  黒ずみしバナナ積みあげ売れる見つ奇禍を待つごとき夜の街角
                       大西民子