天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

冬桜

円覚寺・松嶺院にて

 晩秋から一月頃にかけて咲く桜。春の花よりも小ぶり。十月桜とも呼ばれる四季桜の名所として、鎌倉では、長谷寺円覚寺東慶寺瑞泉寺などがある。ただ、本数が少ないので目立たない。冬の季語。十月桜、寒桜は傍題。


     冬桜海に日の射すひとところ   岸田稚魚
     冬桜空の碧さとかかはらず   馬場移公子
     わが生れ月の十月桜かな     鷹羽狩行
     寒桜交はり淡くして長し    古賀まり子


  冬ざくら見むと車を降りしとき不意の寒さは顔にあつまる
                     大西民子
  寒ざくらしらしら月に枝のべてあくがるるもの久しくあらず
                     木島 泉
  三嶋大社の注連縄くぐり寒桜枝垂るるに触れ いまこそ氏子
                   頴田島一二郎