なんとも暗い響きを持つ呼び名。「ウウオ」と口ごもる母音が3つ続いているからである。ウツボ科の魚で、本州中部からフィリピンの浅海の岩礁に生息する。ナダ、ナマダなどと呼ぶ方言もある。性格が荒く、歯は鋭く、噛まれると大変痛い。皮が厚いので、なめし皮にする。食用にする地方もある。
水中のうつぼ激しく痙攣し刺しくるものに堪へつつ
身あり 浜 梨花枝
水槽にうつぼ冷え冷えと青濁りたり春の愁ひに
馬場あき子
ひるがへるウツボしろき腹いくたびも硝子へだてて
吾と重なる 永井正子
己(おの)が足一ぽん呉れてさてやをらウツボ締めあげ
章魚(たこ)ぞ笑へる 玉城 徹