天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ウツボ

NHKテレビ「水族館」から

 なんとも暗い響きを持つ呼び名。「ウウオ」と口ごもる母音が3つ続いているからである。ウツボ科の魚で、本州中部からフィリピンの浅海の岩礁に生息する。ナダ、ナマダなどと呼ぶ方言もある。性格が荒く、歯は鋭く、噛まれると大変痛い。皮が厚いので、なめし皮にする。食用にする地方もある。


  水中のうつぼ激しく痙攣し刺しくるものに堪へつつ
  身あり              浜 梨花


  水槽にうつぼ冷え冷えと青濁りたり春の愁ひに
                   馬場あき子


  ひるがへるウツボしろき腹いくたびも硝子へだてて
  吾と重なる             永井正子


  己(おの)が足一ぽん呉れてさてやをらウツボ締めあげ
  章魚(たこ)ぞ笑へる         玉城 徹