天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

山女

NHK-BS放映画像から

 ヤマメはサケ科の魚。サクラマスの河川型。体側に楕円形の黒斑が並ぶ。山女魚とも表記する。なんとも艶めいた名前。渓流釣りの対象として人気がある。


  瀬瀬走るやまめうぐひのうろくづの美しき春の山ざくら花
                      若山牧水
  雨の音谷をおろして来るときに夕がれひにて山女の魚を噛む
                      斎藤茂吉
  上つ毛の雄川の山女魚(やまめ)ゆふべ食ひけさ食ひて頭も
  鰭も余さず               吉野秀雄


  少年の胸ときめきやまずいつまでも山女魚(やまめ)はをどる
  魚籠(びく)の底にて           岡野弘彦


  釣りあげし山女魚(やまめ)のまなこ母の眼に似てうるめるを
  かなしと思ひき             岡野弘彦


  雪どけの水に山女の走るとぞ ふるさとはいま発光の時
                      小野興二郎