天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蔵王(ざおう)

NHK-BS放映画像から

 宮城と山形の県境にある火山群。火口湖の御釜は、1939年にも活動した。中世末に蔵王修験ができていた。


  みちのくの蔵王の山にしろがねの雪降りつみてひびくそのおと
                      斎藤茂吉
  蔵王山を一度は見ねば気がすまず村端に仰ぎ帰りて臥る
                     結城哀草果
  みちのくの岩座(くら)の王なる蔵王(ざわう)よ輝く盲
  (めしひ)となりて吹雪(ふぶ)きつ     葛原妙子


  蔵王より見おろす葉山の全山は秋いやはてのほろびの歌なり
                     鹿児島寿蔵
  生(あ)れしより六十年か低山のうへに蔵王の残雪ひかる
                     佐藤佐太郎
  雪隠す雪もたちまち隠さるるふぶく蔵王の真白の宇宙
                      伊藤一彦
  ものおもふひとひらの湖(うみ)をたたへたる蔵王は千年
  なにもせぬなり             川野里子


  指し示す向こうが蔵王けぶれども一途にわれらおもい描きぬ
                      小高 賢