天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

キャベツ(2)

わが家の台所から

 日本での栽培は明治初年以降。生食、煮食、漬物、いためもの などの食べ方がある。


  一人あたり十円ほどの予算にてわれが得意とすキャベツの
  いため煮               中城ふみ子


  さはやかに甘藍を刻む音のして今日は真面目な夕がたである
                      坪野哲久
  春甘藍千にも万にも切られつつ或いは俎上のわれかもしれず
                      森 佐知子
  無農薬新キャベツとて信長の首のようなる包みを提げ来
                      中野照子
  キャベツのなかはどこへ行きてもキャベツにて人生のように
  くらくらとする             渡辺松男


  真二つに断ちしキャベツの真ん中に匂へり鳥の婚の夜の月
                      小松久美江
  截るごとにキャベツ泣くゆえ太るときもいかに泣きしと思う
  夕ぐれ                 梅内美華子