梅雨の歌(2)
梅雨前線の動態は気象学的にどの程度正確に把握できるものか、なんとなくおぼつかない。気象庁からの発表は、梅雨に入ったと見られる、梅雨が明けたと見られる といった曖昧な言い方になっている。
神木の崩えたる梅雨の御社 川崎展宏
雨戸網戸ガラス戸障子梅雨籠り 同上
燦然と梅雨夕焼の金魚金魚 同上
梅雨前線おこたりもなく夕されば軒にとざされ音なき
つばくら 山極真平
梅雨時の執念き湿りしづみ居る厨の隅の生姜のにほひ
木下利玄
昨日今日つゆの小雨に乾しかねし襁褓(むつき)をあぶる
妻とわがゐて 松村英一
いぶし銀のつゆ空ひとところ蒼く裂け飛行機のうなりは
雲にかくれる 西村陽吉
(注)右上の画像は日本気象協会作成のもの。