天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

素麺(そうめん)

わが食卓より

 「そうめん」はもとは「索麺」の音便で素麺とも描く。小麦粉を塩水で捏ね、油を加えて細く伸ばし、日に干したもの。茹でて冷水にさらし、つけ汁で食べたり、吸物の実にもする。奈良県三輪そうめん兵庫県播州そうめん、愛媛県の五色そうめんなどが有名。
夏の季語は「冷索麺」。その傍題に「素麺」「素麺冷やす」がある。


     ざぶざぶと索麺さます小桶かな   村上鬼城
     素麺のつひにいつぽんただよへる  松澤 昭
     掬ふたび冷さうめんの氷鳴る    岡本 眸


  三輪素麺またすすりつつ山家にてひぐらし蝉の潮聴くかな
                      前登志夫
  箸で切らねばとぎれぬものぞ素麺の白きすきまに人も見えゐき
                      辰巳泰子
  子と二人すする索麺夫病みて塞がる胸にも間隙のある
                      松山 馨
  夫を亡くしたる娘が夕べ素麺を少したべをりおとも立てずに
                      持田勝穂


 岡本 眸の句は、まことに単純だが、いかにもおいしそうである。