豚
偶蹄目イノシシ科。野猪を飼いならして家畜化した歴史は古い。外国種が導入され、養豚が普及したのは明治になってから。成熟が早く繁殖力が強い。殆んどが食用である。
ひとかたまり児豚揉みあひ眼はあかず張りつむる母の八乳房
(やちぶさ)の上に 北原白秋
豚の餌を集めに妻が曳きゆけば幼子がリヤカーの後ろより押す
平野宣紀
思ほえず柔和なるもの電車より見ゆる豚小屋に桃いろの豚
田谷 鋭
風薫る春の昼過ぎいずかたへ向けて屠られにゆく豚の尻
石田比呂志
豚たちはしづしづと行き賜るか安楽にしてあつけなき死を
池田はるみ
撫でさすり洗い清めて育てれば気品の高き豚となりたり
王 紅花
ひしめきて畜舎に入りし豚の子ら泥の乾ける尻並びたり
増村忠夫