セロリ
欧州原産のセリ科の一、二年生野菜。十六世紀末薬用として朝鮮経由でわが国にもたらされた。食用として畑で栽培されるようになったのは、昭和になってからであった。オランダミツバともいう。
生(なま)のままセロリきざみて粕(かす)にあへかをり高しと
粥すすりつつ 岡 麓
健やかにいのちある日やセロリーを噛みてをりたり薫しるきを
久方寿満子
セロリーの肉太き茎の匂ふ朝冬の眼のごとき少年に逢ふ
浅田雅一
セロリ噛む舌上にさへ科(とが)ありてゆふべおのれに耐へ
がたきかな 雨宮雅子
自転車のカゴからわんとはみ出してなにか嬉しいセロリの葉っぱ
俵 万智
縦に割くセロリの張りのうすみどり水もつものは快(よ)き音たてる
高橋素子
サキサキとセロリ噛みいてあどけなき汝(なれ)を愛する理由は
いらず 佐佐木幸綱
塩ふりてセロリを噛みぬとほき日の銃のにほひをくきくきと噛む
高松秀明