天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

 城(続)

「美の巨人たち」の映像から

 2012年3月3日のブログでとり上げた内容の続き。「美の巨人たち」というテレビ番組は、私の好みで毎週見ているが、建築シリーズ「城」の中で、名古屋城の歴史を解説していた。それがなかなか面白く、再び城を詠んだ歌を調べてみた次第。名古屋城は、大名たちの財力を使って建造したものだが、過去の名城の良いところを全て取り入れたようであり、日本の城の集大成といった感がある。


  スプーンの柄に彫られたる城集めひたすらアテネの春婦のごとし
                        早崎ふき子
  城持ちになりし秀吉が大らかに見にし琵琶湖の波光りをり
                        渋谷 哲
  黄金を賞(め)でたる王の城めぐりふと立ち昏む深き孤独に
                        雨宮雅子
  城の町かすかに鳰(にほ)のこゑはして雪のひと夜(よ)の朝
  明けんとす                 木俣 修


  写生する生徒と仰ぐ城の屋根見落としてゐし反り美しき
                        森澤雅江
  おほらかに城街空(まちぞら)に見ゆるなり目閉づれば見ゆ目
  を開けばなし                都筑省吾