天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

 噴水(2)

近所の風景

 人工の噴水機にスプリンクラーがある。果樹や芝生の散水灌漑に使用される装置では、ノズルから高圧の水を噴射させ、その反動でノズルが自動的に回転する。別の装置として、消火設備がある。屋根裏に配管、高温や煙に感応して放水口を開くしくみである。


  僧院にふきたまる蝉見つめ居り噴水にぬれてきたぼくたち
                      加藤治郎
  垂直にほとばしる水受けとめて壺(こ)はその水を噴きあげてゐつ
                      雨宮雅子
  なかぞらに暈(かさ)もつ月のとどまれば噴水はその雄蕊とがらす
                       篠 弘
  桜をはり早やも楠芽(くすめ)を薫らせる小園に噴水の音しづかなり
                      大滝貞一
  噴くものをもたざれば雪に潜みおり虹立たすなき噴水ひとつ
                      米田憲三
  噴水はいくたびか丈を変えながら薔薇色の水のつぎに来る闇
                      佐伯裕子