天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

キリスト(3)

エル・グレコのキリスト像

 イエスの説教は、当時社会的に低い位置にある奴隷や娼婦といった人々の心をとらえた。彼等に対し他の人々と同等かそれ以上に扱い、その多くを心身ともに救済したことから、弱者の味方として多くの信者を得たのであろう。


  芝草を焼くほのほみゆ 姦淫はなさざれど知りしイエス
  キリスト                 坂井修一


  引き明けに翔ちたるままについぞ見ぬかのキリストの鬱
  の痩身                  岡口茂子


  キリストのずり落ちそうな腰の布さみしきばかり愛と呼ぶには
                      江副壬曳子
  キリストか、アッラーか知らず。人間をほろぼす神を我
  うべなはず                岡野弘彦


  基督像が泪流すと建てられし野の教会は野の花のなか
                       雨宮雅子