天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

残暑の候(3)

杉本寺境内にて

 秋の彼岸が近づくと鎌倉霊園を訪れる人たちで、金沢八景行きのバスが混み合う。久しぶりに杉本寺、報国寺浄妙寺などを巡った。仁王像、竹林、枯山水などを見て来た。ところどころに彼岸花が咲いていた。


     バス待ちて列長くなる秋彼岸
     秋灯下三十三の化身仏
     秋灯(あきともし)毘沙門天の足元に
     山鳩の声すさまじき竹の春
     勤行と木魚のこゑや秋彼岸


  細々と水を流して時を経し緋鯉真鯉の太刀洗
  高々と梯子立てかけ剪定す鋏鳴らせば笠のととのふ
  風化して日に焼けたるも姿よき石塔が立つ貞氏の墓


右上の画像は、杉本寺境内にある尾崎迷堂の句碑で、裏表に次の俳句が書かれている。といっても碑面からはほとんど読めず、後方の案内板からの紹介である。
  (表) 春潮や南海補陀落山の下
  (裏) 手をかざし見けるは秋の燕哉
 尾崎迷堂は、山口市の生まれで僧侶の修業の後、あちこちの寺の住職を務める傍ら、俳句に精進した。大正十四年から昭和十七年まで杉本寺の住職であった。