天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

秋ふかむ

横浜市舞岡公園にて

 里山では稲刈りが済んで、稲架(はざ)があちこちに立っている。民家の庭には脱穀した後の籾が干されている。それらには皆網がかぶせてあって雀たちが近づけないようにしてある。だがそんなことでは雀はあきらめない。網の目から嘴を突っ込んで籾をついばむらしい。足音がすればバサバサと飛び立ってゆく。網に捕われた雀は見たことがない。里山の畦に並んで残っている案山子たちは、テレビ漫画などにでてくるキャラクターを映しているので、遠足にくる園児たちを喜ばせる。


     出来栄えを畦に競へる案山子かな
     木を這へる毛虫に注意谷戸の朝
     青空に薄く雲刷く秋の風
     柿成れど手のとどかざる路傍かな
     足音に雀翔ちたり稲架の朝


  外出もままならぬほどにのめり込むMLBのポストシーズン
  足腰の筋の衰へおぼえたりMLBの試合見続け
  観客の女がもてる青き布敵味方なくピッチャーに振る
  カメラ据へいつまでも待つ池中の枯木の杭に翡翠くるを
  古民家の庭に置かるる椅子の背に「毛虫に注意」の貼紙はあり
  淡青の空を次々よぎりけり雲は台風の先駈けとして
  「芋侍」「芋姉ちゃん」は見当らず「大根役者」が載る広辞苑