天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

 鏡(4)

近所の風景

 現在一般に用いる鏡は、硝酸銀溶液をガラス板に塗って銀膜を作り、四三化鉛で保護する。理化学用や反射望遠鏡、バックミラーには銀、アルミニューム、鉛などを真空蒸着する。平面鏡、凸面鏡、凹面鏡がある。


  ありありと鏡のなかにくれなゐの炎を見たりわれのたましひ
                      宮 柊二
  更けてゆく夜の鏡にひずみおるおのれの鼻に墨ぬってみる
                      山崎方代
  春の雪霏霏と鏡にふりつもりわがうすじろき首(かうべ)埋めむ
                      佐竹彌生
  わたくしの顔をもたざるわたくしと出会ふことあり朝の鏡に
                      築地正子
  詩歌とは真夏の鏡、火の額を押し当てて立つ暮るる世界に
                     佐佐木幸綱