天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

干大根

横浜市舞岡公園にて

 沢庵漬けなどにするために大根を干すこと。関東でも十二月になると農家では一斉に大根を干す光景が見られる。私にとって印象的なのは、大根を洗って干す三浦半島での情景である。以前、城ケ島によく散策に出かけたが、その途次に見かけた。
 俳句の季語は「大根干す」で、傍題に「干大根」「懸大根」がある。なお大根は古くは「おおね」と言った。


     一村が懸大根の中にあり    杉村義昭
     駅柵の干大根も翳りたり    貞弘 衛
     水分りの社家に日当る干大根  福島 勲
     真白な干大根の一日目     大田土男
     朝焼の美しかりし干大根    石田郷子
     干大根梅に桜に綱渡し     岩田由美


  軒ふかくとりてつるせる大根の甘きにほひや夕ひそやかに
                    生方たつゑ
  夕早く北風吹くゆゑ薦しきて干大根をとり入るるなり
                    生方たつゑ
  大根を干し豆柿を吊す窓けふ訪へば小鮒を串刺しにしつ
                    大野誠
  湖こゆる比良の颪につるしたる漬物大根の日に日に乾く
                   小西久二郎