天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紅葉狩―舞岡公園―

横浜市舞岡公園にて

 舞岡公園に向う道すがらのたんぼの畦には、かまつかの朱実が朝日に輝いていた。舞岡公園の中の小谷戸の里では、稲の収穫はとっくに終り、師走も半ばとあって餅搗が始まっていた。古民家の軒先には干し柿が干からびていた。黄葉の中にところどころ紅葉が混じっていて、今年の紅葉狩も終りである。


     池の辺に河童組み合ふ枯尾花
     停車して紅葉見てをり救急車
     半鐘の塔さびれたり紅葉山
     古池や紅葉映してはなやげる
     古民家や紅葉を透ける朝日光
     極月や小谷戸の里に餅を搗く
     餅搗くや小谷戸の里のボランティア
     古民家の軒の干し柿見栄えせず
     籾を干す横に下がれる大根かな
     花芒中央分離帯に揺れ


  かまつかの小さき朱美は朝の陽に照り輝きて小鳥を待てり
  焚きすぎて湯槽(ゆぶね)曲りしアパートの昔思へば今に怖ろし
  それぞれが望遠レンズのカメラ提げ夫婦で探す里山の鳥
  半鐘の下がれる塔の虚しきをよろこび廻る黄葉の山
  助手席に欠伸した後その犬は軽自動車の窓に貌出す
  優秀なる技術者あまた逃げだせり砂上楼閣の原子力