天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

凩を詠む(1)

江ノ島を望む

 江ノ島に行って岩礁での魚釣を見ようと思って家を出たが、やたら風が強い。その内止むだろうとバスに乗り小田急電車に乗って江ノ島駅に着いた。ところが風は一向に止む気配なく、ますます吹き募る。弁天橋では砂粒が目に口に入って先に進めない。ついに諦めて引き返した。木枯の一日であった。


     凩や首肩すくめバスを待つ
     凩に銀杏ふぶきとなりにけり
     プラタナスすつくと立てり落葉後
     凩に奔馬と化せる潮かな
     木枯や雲ふつ切れて白き富士
     木枯に波遡る河口かな
     凩や弁天橋を前のめり
     木枯の止むまでと入る喫茶店
     木枯の昼食に買ふ鉄火巻
     木枯や砂を払ひて家に入る
     風花のみちのく走る女子駅伝