天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

恵方巻

わが食卓より

 陰陽道では、その年の福徳を司る神を歳徳神(としとくじん)という。歳徳神の在する方位を恵方(えほう)あるいは明の方と言い、その方角に向かって事を行えば、万事に吉とされる。関西を中心として立春前日の節分に恵方を向いて「太巻きの丸かぶり」が行われるようになり、この風習が「恵方巻」として2000年頃から日本各地に広まった。これは平成10年(1998年)にセブン-イレブンが、太巻きを全国発売にあたり、商品名を「恵方巻」としたことに起因するという。今年の恵方は東北東という。よって東北東に向って太巻きを丸かじりすれば、今年は万事うまくゆくのである。


     時雨るるや床屋を出でて首すくめ
     口に手にあまるめでたさ恵方巻
     東北東に向きて口開く恵方巻
     立春や窓を掠むる鳥の影
     立春やまた寒気団南下して
     立春の夕べの雪に困惑す


  冠雪の富士の朝日に乾杯す赤き鞍置く白馬のラベル
  たつぷりと朝日を吸ひてつやめける素心蝋梅せせらぎを聞く
  枯葦の囲める池の水際に羽根をつくろふ二羽残り鴨
  古民家の畑に小さきすずしろが背伸びしてをり朝日を浴びて
  手袋と分厚きジャンパー身にまとふ立春寒波の日本列島