天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

スケート(1)

NHKソチ五輪映像から

 寒冷地の考古遺物から判断して、スケートは氷の張る地域に住む人類が同時的に発明した用具であったらしい。しかも用具の構造がいずれも似ていた。獣骨を削ってブレードにし、それを木製の履物に固定した作りであった。獣骨としては、豚の脛骨が最も多いという。豚は食用として多く供されていたからである。スケートの近代化に貢献したのは、オランダであった。運河が張り巡らされ、冬季には結氷するので、市民たちはスケートを履いて運河を道路替りに活用した。そこから娯楽、スポーツに発展し、用具の改良がなされた。


  氷滑り競ふをとめの遠ざかる背面(うしろで)小さしいや
  滑りゆく              宇都野 研


  その友に後れて滑る一人をとめ空手(むなで)さし垂れのめり
  つつすべる             宇都野 研


  氷上にまぶしき人ら暈(かさ)もてりスケートの刃はきらめき
  ながら                葛原妙子


  街なかにスケート館のできてより愁ひもなげに人ら滑りぬ
                    吉原徳太郎
  スケートの刃もて柔かき氷質を傷つけ止まぬこの子も孤り
                    中城ふみ子