天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

花の浜松

浜松の川縁にて

 今年も花見の時期に浜松に行ってみた。去年は浜松城の桜を見た。他の都市と違って市内にはあまり桜を見かけない。だから桜の名所を予め調べておく必要がある。今回は浜松市浜北区の御陣屋川の桜堤。大仰な名前がついているが、二級河川である。その堰堤に百数十本の桜並木がある。野川のような風情の川で、そこに桜が垂れている光景は野趣がある。
 その後で浜北染地台野鳥公園に行った。まだ整備中の新しい公園だが、かなり広くて池もある。道沿いの一所に幤辛夷の花が咲いていた。また湿地で水芭蕉をひとつ見付けた。野鳥観察ができるとのことだが、この日は見かけなかった。春の嵐の翌日は快晴で小田原駅に着くと神奈川県でも桜の満開が近いことが分った。


     窓際の春光まぶし相模湾
     浜松へ春をまどろむ新幹線
     春眠のホテル寝息と歯軋りと
     春光の車窓のかたち床にあり
     水草生ふ野川に白き水芭蕉
     ボール蹴る児のこゑ遠き水芭蕉
     水嵩や春の嵐の大井川
     残雪の木曾の山々奥に見ゆ
     春眠の醒めて真向かふ富士の山
     春眠のマグマ抱へて富士美しき
     クレーン動く春快晴の東海道


  間近には固きつぼみも遠目にはくれなゐ帯ぶる桜の木々は
  窓外に松二本立つ林見ゆとほき霞の遠州鉄道
  川沿ひの桜の花を見つつゆくよもぎたんぽぽすかんぽの道
  たんぽぽの花咲く道に佇みて川面にうつる桜見てをり
  花垂るる川面の突如盛り上り河童じゃないかと子を驚かす
  川の面に花はしだれて水草は水の流れに添ひてそよげり