天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

花ちる衣笠山

横須賀市衣笠山公園にて

 横須賀市にある衣笠山も神奈川県下の桜の名所である。ここに行く時はいつも裏側の竹林を通る公園入口から入る。昆虫の森、桜の森、展望台と登って、上の広場、管理事務所へと抜けるルートである。今回は満開の時期をのがしてしまったが、おおかた散って淡いピンクの葉がでた林の風情も捨てがたい。花見客がほとんどいないのでゆっくり楽しめた。咲き残る桜と菜の花畑のコントラストも良かった。


     朝戸出の車庫の上なる紫木蓮
     車窓には観音山の桜かな
     さくら散る横須賀港の潜水艦
     うぐひすのこゑは檜の頂きに
     石段は胸突き八丁さくら散る
     山頂は菜の花畑八重桜
     枝わたる烏がちらす桜かな
     さくら散る忠犬タマの碑になみだ
     ゴミ回収衣笠山の花の後


  丈高き桜の山に入りぬればただ花びらの散り来たる見ゆ
  花ちるを衣笠山に見むと来て胸突き八丁の石段のぼる
  山頂にゴミ回収車めぐりきて名前つけたる鴉を叱る