天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

仮面

テレビ映像から

 木・土・紙などで種々の顔の形に作り、顔にかぶるもの。宗教儀礼や演劇に用いる。比喩的に招待や本心を隠すみせかけのもの(以上は広辞苑から)。日本における最古の仮面は縄文時代の土面。顔を隠すという意味合いが強いマスクは、日本においては一般に覆面と呼ばれる。


  向ふ側が失(な)くなりしものばかりならずや雪の山・仮面・
  わが四十代                斎藤 史


  直面(ひためん)も仮面もともに背を向けて去れりこころという
  ものを見せて               川口常孝


  思想全(なべ)てつぎて潰(つひ)えきうつうつと思へば明治
  、大正、昭和               成瀬 有


  誰もみなさみしき仮面つけてゆく休日の街に笑ひ売らるる
                       星野 京
  歩みつつ人も仮面の生をもつさびしきを見て別れ来にけり
                       河野愛子
  おお メヒコ、かの純毒の仮面(マスカラ)に陽もきらめきて
  死者よみがへれ              太田一郎