天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

破れ傘

箱根湿性花園にて

 キク科の多年草で、本州から九州の山地の木蔭にはえる。七、八月に茎上に円錐花序を作り、十個内外の白色筒状の頭花を開く。名前の由来は、若葉が破れ傘をすぼめたように見えるところからきた。


     滝近きけはひの霧に破れ傘     岡田貞峰
     文覚の堂畑荒るるやぶれ傘     阿部坂子


  みすぼらしき花と思へどヤブレガサ風にゆらげばつつま
  しく見ゆ                吉田正俊


  やぶれがさといふ植物の萌ゆるさま年々にしてわれは愛せり
                      柴生田稔
  ヤブレガサわれにかも似る醜(しこ)の草残らず抜きて一まず終り
                      武川忠一