天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

神奈川の力石7

横浜市戸塚区下倉田にて

 下倉田に一回目に行った時は、力石の場所が分らず無駄足に終った。バス停から反対方向に歩いていたのだ。また尋ねる人に出会わなかったため、であった。家でWEBで確認してから、二回目に出かけて見つけた。湯河原町吉浜の小道地蔵堂はバス停のすぐ傍なのだが、真鶴駅からのバス間隔が長いので、また近いこともあってタクシーで往復した。


[下倉田]横浜市戸塚区下倉田町
     力石夏の日射しの避けがたく
     炎帝が睨みつけたる力石
     炎帝が根負けしたり力石
  今日もまた無駄足になるをおそれつつ「ちからいし」とふ
  バス停に下車
  二度訪ひて探し当てたる力石ゴミ収集箱の横に見えたり
  バス停の名の由来なる「ちからいし」個人の家の角に接して


[川匂(かわわ)神社]中郡二宮町山西
  タクシーに乗れば角々曲りゆく川匂神社の力石まで
  仇討(あだうち)を心に身体きたへけむ五郎十郎の力石とぞ
  郷土誌に記載されたる力石「川匂神社」の立札の下
  力石といふには大きすぎないか五郎十郎が身体鍛へし


熊野神社茅ヶ崎市小和田
     あらたまの年の日の丸力石
     力石銀杏青葉の風が吹く
     夏祭りくれば出番の力石     
  老人に道を尋ねて着きにける熊野神社に石を探せり
  大いなる靖国之碑の根方には力石ならぬ石ふたつあり
  晴れがましき日には人々気付くらむ国旗掲揚ポールのそばに
  「力多免しの以志」とあるらし文字などは歳月を経て判読できず


[小道地蔵堂足柄下郡湯河原町吉浜
     青潮に白波が立つ地蔵堂
     土用波とどろく浜の力石
     吉浜の潮風涼し力石
  吉浜の小道地蔵と告げたればタクシーは行く力石まで
  地蔵堂庭の片隅大小の力石あり潮(うしほ)が匂ふ
  タクシーを待たせて探す力石葉月はじめの潮風の中
  そのかみの浜の漁師が競ひける力自慢の石ふたつあり
  タクシーの運転手さんに話したり神奈川にある力石のこと
  真鶴は石の産地にありければ力石といふ苗字多しと
  タクシーの運転手さんはロマンといふわが力石探す道行き


所感:
  力石探して歩く功徳とは足腰強くなるを期待す
  力石見つけて帰り家に飲む焼酎ロック甘露にまさる
  ひとくちにロマンと言へど力石探す苦労もひとしほにして
  力石探して歩く功徳なれ「歳より若い」と医者に褒めらる