天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

石の歌(5)

路傍の石

 石自体に注目した歌もある。


  千古 人 手ふれざりつる頂の石の破片を思ふにうつくし
                    佐佐木信綱
  われのゐる石をめぐりて行く水の波だつところ夕かげりたり
                     松村英一
  雪の上にあらはに黒き石ひとつ冬を越えたるもののしづけさ
                     岡部文夫
  石の面に腰をおろしてその横の石にひらたく日の照る見おり
                     石田比呂志
  ゆく河の流れを何にたとえてもたとえきれない水底の石
                     俵 万智
  日にひかる白き小石を拾ひ来て机上におけば灰いろの石
                     安田純生