天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

窓(3)

旧華頂宮邸(鎌倉)

 天窓は建物の天井部分に設置された窓で、採光や換気を目的とする。採光のみの場合は、ガラスや合成樹脂をはめ殺しにした天窓になる。採光と換気の両方の場合は、開閉式天窓がある。


  わが眠りひと夜守りゐしガラス窓明方にびつしり汗を
  噴きゐる              五喜田正巳


  対称形に並びいる窓おのおのにせめて異形の湯の煙あれ
                     市原志郎
  人の生活(たつき)おぼろに透かす玻璃窓に執して蔦は
  紅葉し迫る             富小路禎子


  朝の日のさし入る窓に古今集おほなほびのうた声にして
  読む                 春日井荇


  ニ短調の青空ひびく窓にして燦々と降る誰が泪かも
                     檪原 聡
  窓枠を両手に握れば囚人のごとしと妻に笑われにけり
                     高瀬一誌