天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

芭蕉(1)

横浜市俣野別邸庭園にて

 バショウ科の大形多年草。葉は2mほどにも拡がり長い楕円形。バナナもバショウ科バショウ属の大形多年草である。ただしバナナの実と違い、芭蕉の実は食べられない。


  いささめに時待つまにぞ日はへぬる心ばせをば人に見えつつ
                   古今集・紀 乳母
  かぜふけばあだにやれ行くばせを葉のあればと身をもたのむ
  べきかは               山家集西行


  きりぎりすまぢかきかべにおとづれてよひの雨ふる庭の
  ばせを葉               夫木抄・寂連


  縁先に玉巻く芭蕉玉解けて五尺の緑手水鉢を掩ふ
                       正岡子規
  芭蕉葉にさはりし風の音たえてさびし今宵は虫の音もせぬ
                       金子薫園
  秋風の日にけに吹きて破芭蕉ゆふべそぞろに寒けくなりぬ
                        岡 麓
  素枯れ葉に垂りつつ長き芭蕉の花苞(ほう)の中にはこもる
  花見ゆ                  土屋文明