天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

髑髏

セザンヌが持っていた髑髏

 ドクロは白骨化したヒトの頭部の頭蓋骨で、しゃれこうべ(「晒され頭(こうべ)」の意)とも言う。髑髏と骨を組み合わせた図柄は、海賊の旗や紋章になった。現代でも危険物の印として使われる。


  あるいは髑髏を抱いているだけかもしれない 独り言だけの
  舞台の照明(あかり)             押本昌幸


  目が凹み頬そげし顔にあるべきか見てしまひたり己の髑髏
                        田中恵子
  人にいふことにあらねどなにげなし躑躅と髑髏かんじ似てゐる
                        小池 光


 松尾芭蕉(「続猿蓑」)に次の句がある。
     いなづまやかほのところが薄(すすき)の穂

骸骨の絵が一瞬、稲妻に照らし出された時、骸骨の目から薄の穂が見えたような気がして、小野小町の骸の話を思った。という句意である。