天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

芭蕉(3)

横浜市俣野別邸庭園にて

 芭蕉は英語では、ジャパニーズ・バナナとなっているが、原産地は中国という。沖縄地方では、昔から葉鞘の繊維で芭蕉布を織り、衣料などに利用していた。現在でもバショウの繊維を利用した工芸品が作られている。


  移し植うる芭蕉運ばれ地のうへに横たへられて大きかりけり
                     長澤美津
  芭蕉葉の破れて立てる塀の内むかし関口芭蕉庵ありき
                   蒔田さくら子
  庭の芭蕉立つて冬越すさびしさに舟のごと大き一葉(ひとは)
  うたはす              馬場あき子


  ほぐれゆく芭蕉巻葉を揺らしつつ南風(はえ)は豊かに邑を
  過ぎれる               楚南弘子


  まさをなる芭蕉は夢のごとく立ち無為の扇をかざす木枯らし
                     前川斎子
  ばしょうの葉の蔭に涼しき椅子ひとつ未婚を悔む日の
  ありやなし              武市房子