天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鳥居

京都伏見稲荷にて

 神社の象徴になっている鳥居の起源には諸説ある。中国やユダヤなどと関係があるとか。日本人としては語源から、天照大御神が天の岩屋にお隠れになった際に、八百万の神々が鶏を鳴せたが、このとき鶏が止まった木を鳥居の起源であるとする説が分りやすい。形態には六十数種類があるらしい。


  道つじの鳥居にしるし杉がくれこの山中にやしろありとは
                      葉室光俊
  とりゐたつ逢坂山のさかひなるたむけの神よわれないさめそ
                      源 仲正
  稲荷坂見あぐる朱の大鳥居ゆり動かして人のぼり来る
                      橘 曙覧
  冬の日を正面(まとも)に受けてやや寒くまかがやく赤き鳥居
  小さしも                北原白秋


  鳥居たてる大き岩礁(いくり)に間を措きて花白波のうちあがる
  見ゆ                 鹿児島寿蔵


  五丈(いつたけ)の両部華表(りょうぶとりゐ)を仰ぎけり控へ
  柱の海苔に手(た)触(ふ)れて       吉野秀雄