天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

野牡丹

北鎌倉・円覚寺にて

 ノボタン科の常緑低木でブラジル原産。花の色は紫が多い(紫紺野牡丹)が、赤や白もある。寒さに弱いので温室で栽培されるが、寒さに強い改良品種もある。幹は分枝し、葉は卵状楕円形で、はっきりした数状の縦脈がある。枝葉には褐色の粗毛が生える。


  ほぐれゆく蕾のさまはいまだ見ずこの野ぼたんの深き紫
                    大悟法利雄
  朝咲きて夕べは散らふノボタンを心しづむるよすがとぞする
                     吉田正俊
  約束を守らねばならぬやうに咲きてその日に散るのぼたんの花
                     長沢美津
  ひとやすみしてゐる如き野牡丹が十二月に入りつぎつぎ開く
                     佐藤志満
  一日にて花散り終る野牡丹の散りて久しきその濃紫
                     野北和義
  野牡丹の葉は紅葉して芝生の中いただきになほ咲きつぐ紫
                     吉村睦人
  野ぼたんのけふ咲きましたと書きしかど手紙のかなたまだ
  夏にして              辺見じゅん