蜂の歌(3)
ここでは蜜蜂の歌をとり上げる。在来種のニホンミツバチはセイヨウミツバチに駆逐されて、野生種が山地の洞に細々と生き残っているにすぎない。セイヨウミツバチは、蜂蜜と蜜蝋を採取する目的で明治時代にヨーロッパから輸入されたもの。
みだれとぶ花粉まみれの蜜蜂のゆくへを追ひて暫しありけり
若山喜志子
過労死するハウスのなかの蜜蜂を話せども子は興味示さず
吉野昌夫
くしけづる髪より出づる蜜蜂を夜明くる村に翔ばしむる妻
前登志夫
たしかなる輪郭をもてば肉体は自ずから光る金の蜜蜂
早川志織
いまきみの脳は機能を失ってぬれたガーゼに包むみつばち
加藤治郎
ぼくたちの詩にふさわしい嘔吐あれ指でおさえる闇のみつばち
加藤治郎
みつばちが君の肉体を飛ぶような半音階を上がるくちづけ
梅内美香子