天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

晩秋の円覚寺

北鎌倉・円覚寺にて

 十一月中旬になって、鎌倉の紅葉が気になってしょうがないので、とりあえず北鎌の円覚寺に行ってみた。案の定、まだ少し早いようであった。弁天堂から眺める東慶寺の裏山や周辺の森も色づいていない。時宗廟の仏日庵では、今年も華道家・假屋崎省五の作品展「假屋崎省吾の世界〜百花絢爛〜」が開かれていた。仏像の両側に華麗な着物を広げ懸けて、室内に前衛の生け花を配するという趣向である。時宗廟の縁には、金色に見える華が活けてあった。塔頭の如意庵は、最近、喫茶店を始めたらしい。従来は庭に入ることはできなかったが、現在は座敷にあがってコーヒーやケーキをとりつつ庭を眺めることができる。ただし、これはなにかのイベント毎に開かれているのかも知れない。確認を要する。


     華道家が腕をふるへり時頼忌
     凩や洪鐘(おほがね)の闇をのぞき見る
     門前に人引き留むる紅葉かな


  凩のはげしき夜を思ふなり遊行寺坂に銀杏散り敷く
  円覚寺塔頭に飲む珈琲の香り濃くなる紅葉の庭