天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

銀杏(1)

横浜市・俣野別邸庭園にて

 銀杏を詠んだ短歌は多い。このブログでも秋になると少しづつ紹介してきたが、以下5回に渡って総ざらいしておこう。但し、すでにとり上げた歌は、極力除いて。ところで、イチョウ葉のエキスには、 ・認知症の改善 ・記憶改善 ・脳機能障害の改善 ・末梢循環障害の改善 などの医薬としての効用があるというから驚く。その実のギンナンは、食べ過ぎると中毒になるということも覚えておきたい。特に幼児には5,6粒でヤバイという。


  わが窓のくもり硝子に黄に映えし銀杏葉もはや散り過ぎにけり
                      斎藤茂吉
  泉水に公孫樹の黄葉うつりをりひろらのお庭の夕静(ゆふしづ)
  をめぐる                木下利玄


  年ふりし銀杏の枝は垂れさがり蔦の如くに宙にゆれあふ
                       岡 麓
  いちやうの冬木樹形うつくしく整ひてこの構内に過ぎし幾十年
                     柴生田 稔
  水皺(みしわ)かすかに池の面にあり銀杏樹(じゆ)のいまか
  崩れむ鬱金(うつこん)を盛る       葛原妙子


  芽ぶきゆくいちやうの老樹そばだちていま盛んなる樹液
  あげゐん                長沢一作


  そばだちて公孫樹かがやく幾日か時を惜しめば時はやく逝く
                      長沢一作