天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雪女(1)

青梅・昭和レトロ商品博物館にて

 俳句の季語に「雪女郎」があり、傍題に雪女、雪坊主がある。いずれも雪国の伝説に出て来る妖怪。地方によって呼び方に違いがあるようだ。「ユキムスメ」、「ユキオナゴ」、「ユキジョロウ」、「ユキアネサ」、「雪オンバ」、「雪ンバ」、「雪降り婆」等々。「死」を表す白装束を身にまとい男に冷たい息を吹きかけて凍死させたり、男の精を吸いつくして殺すところが共通している。雪女の起源は定かでないが、室町時代には既に知られていたらしい。


     みちのくの雪深ければ雪女郎     山口青邨
     雪女郎おそろし父の恋恐ろし    中村草田男
     かまくらを覗きゆきしと雪女    後藤比奈夫
     肩の荷のにはかに重し雪女      小原啄葉
     雪をんなとならねば見えぬ雪の城  長谷川秋子
     雪をんなわれが笑へば笑ひけり   田中ただし