天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雪女(2)

青梅「雪女ゆかりの地」碑

 小泉八雲『怪談』の中の「雪女」の話が、多摩川から来ていることを知っている人は少ないのではないか。どこか雪国の伝説だろうと思ってしまいそうなのだが。


  雪女郎たましひこめて誰に逢はん虎落もがりの氷(ひ)の
  笛を吹く              小川恵子


  雪しづく甘しといへば雪女の異形の愛は不意にしたたる
                   米川千嘉子
  ただいまあ雪女ですと雪まみれの可奈子が昼の玄関に立つ
                    大森益雄
  はらはらと降る牡丹雪ゆき女ひとり歩めり傘などささぬ
                    福永玲子
  実はわたし雪女にて候ふと手をつき家を出づる日なきや
                    阿部 綾