天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

初春の骨董市

遊行寺の放生池にて

 今年の初詣という殊勝な心がけではないが、近くの遊行寺に出向いた。小栗堂の障子が少し開かれていたので中を覗いてみたが、仏壇らしきものがあっても仏像などは見えなかった。裏手の庭は小栗判官と十勇士の墓、照手姫の墓、鬼鹿毛の墓、小栗判官眼洗いの池などは、従来どおりであったが、周辺が充実されていて、なかなか見栄えのする庭になっている。宇賀辨財天の鳥居の傍では、新年の祝い酒が売られていた。遊行寺の境内には、フリーマーケット&骨董市が開かれていた。ただ客の数は少なかった。遊行寺から東海道を挟んで向いの諏訪神社にも立ち寄った。三が日を過ぎていたので、深閑としていた。


     正月や障子開けたる小栗堂
     遊行寺は楠大木の御慶かな
     正月や目無し達磨を買ふて来る
     三が日過ぎて静まる社かな
     枯枝にふるき鳥の巣あらはなる


  横たはる鯉の支ふる観世音小栗判官眼洗之池
  遊行寺の左手奥に祀られて酒樽置かる宇賀辨財天
  石板の魚鱗甲貝供養塔放生池に逝きしものたち
  正月の骨董市に下駄を売る朱印四角の網走刑務所
  いつどこの家に懸りて時告げし骨董市の柱時計は
  時告ぐることを忘れず売られたり骨董市の柱時計は
  祖霊神、大黒天社、太子堂石の祠の道祖神あり