天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

薪(2)

横浜市舞岡公園にて

 木材は人間が調達し易い燃料であるため、最古より人類に利用されてきた。現在でも開発途上国では伐採樹木の8割が薪炭用で占められているという。薪は、食物の調理や風呂炊きといった日常用途のみならず、発電、蒸気機関車、窯業などの熱源として使用されてきたので、地球の森林資源は激減した。その再生は人類の大きな課題のひとつである。


  夜をふかみ五右衛門風呂の底ふかく燃え立つ薪(まき)の
  くづるる音す             石井直三郎


  山ふところに薪を束ねる若きをみなが少年つれゐてたのしげ
  にみゆ                結城哀草果


  薪割りつつ成りたる歌を地(つち)に書く睦月に近くまだ
  荒れぬ土                田谷 鋭


  薪採りしは寒(かん)の間(ま)なれば夏鳥を知らず過ぎけり
  今鳴く大瑠璃も             後藤直